『古い骨』アーロン・エルキンズ著/青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫/(ミステリアス・プレス文庫)
白骨死体の法科学的分析で成果をあげた、ワシントン大学の人類学教授ギデオン・オリヴァーは、スケルトン探偵として警察関係者に知られていた。
ギデオンは科学捜査会議の講師としてフランスのサン・マロに招かれ、各国の警察関係者に対し数日にわたって司法人類学の講義をしていた。会議に参加していた地元警察のジョリは、地元の名門デュ・ロシェ家の敷地内で白骨死体が見つかったという知らせを受け、事情を説明してギデオンを伴って現場に向かう。ギデオンの調べで、死体はデュ・ロシェ家の誰かであり、第二次世界大戦頃に胸を刺されて死亡したことがわかった。デュ・ロシェ家では、数日前に当主のギヨームが貝の採取中に溺死し、白骨騒動の最中に親族のひとりが青酸カリで殺された。ギヨームは何かを発表するために一族を呼び寄せていたのだが、その前に死んでしまった。彼は何を言おうとしていたのか、毒殺事件はその発表と関係があるのか、ギョームは本当に事故死だったのか、そして白骨死体は誰なのか、第二次大戦中の悲劇が現代によみがえる。
1987年に発表され翌年エドガー賞を受賞した、スケルトン探偵シリーズ4作目。日本では本作が一番最初に紹介され、以後途切れることなく翻訳が出ているラッキーなシリーズだ。シリーズ1作目が翻訳されてないのは唯一残念なのだが、こちらはサスペンス・タッチで、以降の作品とはかなりテイストが違うためかもしれない。
スケルトン探偵シリーズの面白さ楽しさは、謎解きミステリの伝統を受け継いでいるのもさることながら、世界を旅するギデオンが骨にまつわる事件に遭遇し、自分専門知識を武器に解決に一役買うところだ。行く先々の名所や名物料理などがいろいろと紹介され、ちょっとした旅行記としても楽しめるのも人気のひとつ。『古い骨』ではフランス西部のサン・マロとモン・サン・ミッシェルが舞台で、店が休みだったので名物のオムレツこそ食べられなかったものの、ギデオンたちはガレットや魚介料理を堪能する。
ギデオン・オリヴァー(スケルトン探偵)シリーズ
1."FELLOWSHIP OF FEAR (未訳)
2.『暗い森』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
3.『断崖の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
4.『古い骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫→ハヤカワ・ミステリ文庫
5.『呪い!』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
6.『氷の眠り』嵯峨静江訳/ミステリアス・プレス文庫
7.『遺骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
8.『死者の心臓』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
9.『楽園の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
10.『洞窟の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
11. 『骨の島』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
12. 『水底の骨』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
13. 『骨の城』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
14. 『密林の骨』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
15. 『原始の骨』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
16. 『騙す骨』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
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