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 関西翻訳ミステリー読書会のお知らせなどをアップしていきます。  関西翻訳ミステリー読書会は、翻訳ミステリー大賞シンジケートの後援のもと、関西で翻訳ミステリーの読書会を行っております。これまでは大阪のみでしたが、12月に神戸と京都でも行います。いずれは関西全域で読書会ができるよう目指しています。  無断転載はお断りします。
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1月の読書会課題書予定・その2『古い骨』

『古い骨』アーロン・エルキンズ著/青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫/(ミステリアス・プレス文庫)

 白骨死体の法科学的分析で成果をあげた、ワシントン大学の人類学教授ギデオン・オリヴァーは、スケルトン探偵として警察関係者に知られていた。
 ギデオンは科学捜査会議の講師としてフランスのサン・マロに招かれ、各国の警察関係者に対し数日にわたって司法人類学の講義をしていた。会議に参加していた地元警察のジョリは、地元の名門デュ・ロシェ家の敷地内で白骨死体が見つかったという知らせを受け、事情を説明してギデオンを伴って現場に向かう。ギデオンの調べで、死体はデュ・ロシェ家の誰かであり、第二次世界大戦頃に胸を刺されて死亡したことがわかった。デュ・ロシェ家では、数日前に当主のギヨームが貝の採取中に溺死し、白骨騒動の最中に親族のひとりが青酸カリで殺された。ギヨームは何かを発表するために一族を呼び寄せていたのだが、その前に死んでしまった。彼は何を言おうとしていたのか、毒殺事件はその発表と関係があるのか、ギョームは本当に事故死だったのか、そして白骨死体は誰なのか、第二次大戦中の悲劇が現代によみがえる。
 1987年に発表され翌年エドガー賞を受賞した、スケルトン探偵シリーズ4作目。日本では本作が一番最初に紹介され、以後途切れることなく翻訳が出ているラッキーなシリーズだ。シリーズ1作目が翻訳されてないのは唯一残念なのだが、こちらはサスペンス・タッチで、以降の作品とはかなりテイストが違うためかもしれない。
 スケルトン探偵シリーズの面白さ楽しさは、謎解きミステリの伝統を受け継いでいるのもさることながら、世界を旅するギデオンが骨にまつわる事件に遭遇し、自分専門知識を武器に解決に一役買うところだ。行く先々の名所や名物料理などがいろいろと紹介され、ちょっとした旅行記としても楽しめるのも人気のひとつ。『古い骨』ではフランス西部のサン・マロとモン・サン・ミッシェルが舞台で、店が休みだったので名物のオムレツこそ食べられなかったものの、ギデオンたちはガレットや魚介料理を堪能する。



ギデオン・オリヴァー(スケルトン探偵)シリーズ
1."FELLOWSHIP OF FEAR (未訳)
2.『暗い森』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
3.『断崖の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
4.『古い骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫→ハヤカワ・ミステリ文庫
5.『呪い!』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
6.『氷の眠り』嵯峨静江訳/ミステリアス・プレス文庫
7.『遺骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
8.『死者の心臓』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
9.『楽園の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
10.『洞窟の骨』青木久恵訳/ミステリアス・プレス文庫
11. 『骨の島』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
12. 『水底の骨』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
13. 『骨の城』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
14. 『密林の骨』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
15. 『原始の骨』嵯峨静江訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
16. 『騙す骨』青木久恵訳/ハヤカワ・ミステリ文庫


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1月の読書会課題書予定・その1『死の蔵書』

『死の蔵書』ジョン・ダニング著/宮脇孝雄訳/ハヤカワ・ミステリ文庫

 デンヴァーの路地で、古本掘り出し屋のボビーの死体が見つかる。デンヴァー警察殺人課のクリフ・ジェーンウェイ巡査部長が、古書蒐集の趣味を生かしてボビーのアパートを調べてみると、高額で取引されるだろう本が何冊か隠されていた。ボビーの知り合いや取引のあるデンヴァーの古書店に聞き込みをすると、ボビーは掘り出し屋の仕事から足を洗えるだけの、大量で高価な古書取引をしようとしていたらしい。取引の相手は、亡くなった伯父の遺産を相続した兄妹だった。兄妹の蔵書を手に入れた後、ボビーは殺された。文無しのボビーに蔵書を買う資金を誰かが渡したはずだし、大量の蔵書がどこかにあるはずだ。しかし捜査は進展しないまま、時間だけがすぎていった。
 その後クリフは暴力的な噂の絶えない裕福なビジネスマンで、宿敵ジャッキー・ニュートンを叩きのめし、マスコミからの暴力警官として非難を受けて警察を辞める。前々から仕事に嫌気がさしていたので、その機会に古書店を開く。そして事件が風化しはじめたと思われた頃、ボビーと組んでいたピーターがクリフの店の従業員とともに殺される。クリフは事件を終わらせるため、独自の捜査をはじめる。
 警察官から古書店主に転職したクリフ・ジェーンウェイ・シリーズ1作目で、1992年ネロ・ウルフ賞受賞作(フェアな謎解きミステリに送られる)。警察小説、あるいはハードボイルドっぽい雰囲気ではじまるが、しだいに本格ミステリの様相を呈してくる。ひとつひとつパズルがはまっていくのが気持ちよく、最後の一行にしびれる。古書にまつわる蘊蓄が折りに触れて語られるのも、このシリーズの魅力のひとつ。

クリフ・ジェーンウェイ・シリーズ
『死の蔵書』宮脇孝雄訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
『幻の特装本』宮脇孝雄訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
『失われし書庫』宮脇孝雄訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
『災いの古書』横山啓明訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
『愛書家の死』横山啓明訳/ハヤカワ・ミステリ文庫



第8回関西翻訳ミステリー読書会課題書決定

 11月2日(金)に大阪で予定されている、翻訳ミステリー読書会の課題書が決定しましたので、お知らせします。

 『殺人者の顔』ヘニング・マンケル著/柳沢由実子訳/創元推理文庫

 詳細と募集は後日告知いたします。

第7回読書会レポート(2)

「そもそもコージーってどんなもの」「『ピザマンの事件簿』はコージー?」

 たぶんコージー……男性が主人公だけど……。

(一昔前ならジェフ・アボットの「図書館館長シリーズ」や、ロビン・ハサウェイの「フェニモア先生シリーズ」、今ならJ・B・スタンリーのダイエット・クラブ・シリーズ」も男性が主人公ですね)。

 日本だと『謎解きはディナーのあとで』になるのかな。わりと軽めで。若竹七海とか。

「昔はナンシー・ピカードとかキャロリン・G・ハートとか、けっこうしっかりしたお話があったよね」「絶版になってるのは、もったいないね」

 はい、シャーロット・マクラウド(アリサ・クレイグ)も絶版です。実にもったいない。

「キャロリン・G・ハートとか、シャーロット・マクラウドって、シビアなお話しもあったけど、コージーなの?」

 ああいうミステリが、たぶん本来コージーと呼ばれていたミステリでは?

 日本ではたぶんマクラウド、ハート、ピカードなど(他にもいろいろいますが)がコージー・ミステリと分類されるようになって、たぶんドナ・アンドリューズあたりが分かれ目(ドナ・アンドリューズはお料理ミステリじゃないけど)。で、ジョアン・フルークの「ハンナ・スウェンセン・シリーズ」が出版されて、一気にレシピつきのミステリが増えたのではないかな。

「お勧めのコージーってある?」

 新しいのなら「アガサ・レーズンのシリーズ」。まだ1作しか出てないけど、現代のミス・マープルって思う。これがだめならコージーは向いてないかも。

 でもいちばん勧めたいのは、やっぱりキャロリン・G・ハートかな。アニー&マックスのシリーズが有名だけど、わたしはヘンリーOのシリーズが好き。このシリーズ読んで、コージーが好きになったから。

 今日の課題書があわなくても、他の作品もぜひ読んでみてくださいね。

 今日はありがとうございました。次回は11月2日(金)で、本は決まってませんがスウェーデン・ミステリです。


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その他の主な意見

・間違った使い方をされているダンス用語が散見された。作者はきちんと調べてないのでは。
・ミステリって本来、謎解きだけでいいのでは。
・どうして今コージーが読まれて、3Fミステリが読まれないのか……というか翻訳されないのか。
・コージーもハードボイルドもキャラクター小説。書き方によってコージーにもハード・ボイルドにもなる。
・SJローザンのリディア&ビルのリディアが主人公の回、ハードボイルドだけど、コージー的でもある。(ローラ・リップマンのテス・モナハン・シリーズも)

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 読書会ではこんな作品もコージーです、参考にしてくださいと、名古屋在住で名古屋読書会幹事の書評家Oさん(名前出していいかわからないので一応イニシャルで)からいただいた、《本の雑誌》のコラム「コージ魔多し」を参加者のみなさんにお配りしました。


 にしても、お料理ミステリでもないジェフリー・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』で、あれだけ子牛のすね肉の料理法について話し合った大阪読書会なのに、料理が話題になりませんでした……。全体的にかなりつっこんだ話し合いになったせいでしょうか。新しい方はついてこられたでしょうか? 心配です。これにめげず、また来ていただけるとうれしいです。

 あ、それとなぜ今コージーが読まれて、3Fミステリが読まれないのかってテーマ、これは参加してなかったしおもしろいので、そのうち自分なりの意見を書いてみようかな。


コージー・ミステリとは
●基本はフーダニット(誰が殺したか?)。
●小さなコミュティで起こる=容疑者が限定される。
●残虐なシーンがない、あっても少ない。
●ロマンスがあっても、ベッドシーンはほとんどない。
●男女問わず素人探偵が活躍
●殺人事件が起きても日常生活は続く。
●読後はすっきり、さっぱりと。
●元祖はアガサ・クリスティのミス・マープルのシリーズ。
●現在のコージー・ミステリ隆盛の礎を築いたのは、シャーロット・マクラウド。





(終)

第7回読書会レポート(1)

 7月27日(金)に梅田の某所で、『名探偵のキッシュをひとつ』エイヴリー・エイムズ著/赤尾秀子訳(コージーブックス)の読書会を行いました。

 自分がしょっちゅうコージーを読んでるもんだから、他人も当然読んでるって思ってたのですが「コージー読むのこれが始めて!」という方が多く、ちょっとびっくり。それでも始めて読んだコージー・ミステリ。みなさん、どんな感想を持ったのでしょう?

「生ぬるい」「筋が荒い」「捜査方法も荒い」「え、全然捜査してなかったと思ったけど」「勝手に人の事務所に入ってる……不法侵入してもいいの?」「次は読まない」

 って、ええ? けっこうシビアな意見ですね。他には。

「伏線張ってるわけじゃないのに、登場人物多すぎ!」「登場人物表に載ってない人も多かったし」「料理のレシピ載ってるけど、イマイチ。クッキング・ママならもっとしっかり載ってるけど」

 確かにそうかもしれないけど……。

「捜査する動機があいまい」

 え、でもおばあちゃんが容疑者なんだけど……。

「だったらもっとしっかり捜査したほうが……」「おばあちゃんも、家で選挙活動したり、芝居の稽古したり現実離れしてる」

 そ、そ、そうですか。

「でも雰囲気づくりはよかったかも」「アーミッシュ出したり」「レベッカのお父さん印象的」「ウェブ担当のボズがよかった、次はもっと活躍してほしい」

 そうですね。

「でも次は読まないな」

 えぇっ。

(続く)



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